| ■文書管理の共同利用を検討
山形県が2002年度に力を入れたのは、基幹高速通信ネットワークの本格稼動だ。
同ネットワークは、01年度末に1Gbpsのダークファイバーを借り上げて構築。県庁をNOC(ネットワークオペレーションセンター)として県内8か所にアクセスポイントを設置。
栗田貫也・総務部総合政策室情報企画課地域情報係長は、「これにより、県内のインフラ整備についてはほぼ完成した」と話す。
県内のインフラが整ったことを受け、今年度は電子県庁の実現を踏まえた政策を具体化させる。
これまで「行政情報化推進」という名称で、国とのLGWAN(総合行政ネットワーク)接続やホームページの充実、メールアドレスの設定および管理などを担当していたセクションを、今年度から「電子県庁推進」と名称変更した。
「文書管理システムにおける市町村との共同利用を見据えて、どのような仕組みにするかを検討する。今年度中にはプロジェクト組織を立ち上げる」(富樫健治・総務部総合政策室情報企画課電子県庁推進主査)段階に入った。
共同利用を実現するうえで問題となってくるのは、山形県には受託計算業務を行う民間の計算センターがあるものの、IDCがないということだ。
この点については、「県がIDCを設置するか、企業がIDCを立ち上げるのを待つか、県内以外のIDCを利用することも視野に入れている」(富樫主査)と、さまざまな可能性を模索している。
また、市町村合併が共同利用を足踏みさせる可能性も十分に考えられる。栗田係長は、「合併してから基幹システムの統合や地域ネットワークの整備を行うケースが多い。しかも、44市町村のうち庁内のLANが整備されていない自治体があるのも事実だ」と打ち明ける。
県内では、今年7月1日時点で法定協議会が3件、任意協議会が4件。県内44市町村のうち、32市町村が合併構想の中にある。
市町村との連携を強化するため、山形県では「山形県情報化推進県・市町村連絡協議会」を00年度に設置した。
富樫主査は、「IT化を進めていくうえで、システムの共同利用は避けて通れないといえる」と県と市町村の連携は不可欠と強調する。
■住民サービスの向上がカギ
山形市は、昨年度に地域イントラネットを構築し、本庁と市内123か所にある出先機関を専用線で結んだ。志藤聡・合併推進部情報企画課主幹兼開発運用係長は、「グループウェアを導入し、出先機関と情報共有などコミュニケーションが図れるようになった」と、インフラ整備のメリットを語る。
また、「ネットワークを介した市民向けサービスを提供するための基盤として位置づける」(志藤主幹)としており、市内28か所の公民館にタッチパネル式の専用端末を置き、住民票発行申請書などをダウンロードできるようにした。また、市民向けにICカードを6万2000枚無料配布し、市役所や4か所の公民館の自動交付機で住民票や印鑑登録証明書を入手できる。さらに、市民カード加盟店で飲食や商品の購入などの際にポイントサービスが受けられるなどのサービスの実証実験も行っている。
今後は、住民基本台帳カードとの統合も検討していく。「カードの発行時に金額が発生するのであれば、市民カードと統合して住民に便利なカードにすることが需要を増やすカギだ」(志藤主幹)と指摘する。
山形市では、上山市、山辺町、中山町との法定協議会を設置している。伊藤尚之・合併推進部情報企画課情報調整係長は、「県が共同利用を決定した場合、山形市だけで参加するというわけではなく、将来、合併する市町との話し合いで検討していきたい」とあくまでも合併を織り込んだIT化を図る。しかも、「共同利用は、利便性や負担金額によって参加するか否かを決めることはありうる。しかし参加することで市民へのサービスがいかに向上するかということがもっとも重要な要素だ」と指摘する。 (週刊BCN 2003年7月14日号掲載)
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