| ■今年4月、電子申請システム開発をスタート
静岡県は、今年4月から電子自治体に欠かせない電子申請システムの開発に取りかかる。
主な開発案件は、電子申請、調達、文書管理システムの3件。申請と調達については県内市町村との共同利用を進める。
昨年7月には県内市町村と共同で「電子自治体推進連絡会」を設置し、共同利用に向けた具体的な検討を始めた。
静岡県では、電子申請に先立ち、独自の施設予約システム「とれるネット」を昨年4月から始めた。県の体育館や運動場などの予約や空き情報がネットで検索できる。
また、県の申請書類約3900種類のうち、よく使われる1100種類の申請書類をダウンロードできるサービスも始めた。書類の多くは紙にプリントして窓口に提出しなければならないが、なかには電子メールで送付できる書類も約70種類ある。
だが、個人認証や課金システムがまだ未完成なため、現状では簡単な書類しか電子的にやりとりできない。
また、県庁内の情報系システムはノーツを使っているため、実際に電子申請が始まったときの庁内文書管理システムを新たに作り直す必要が出てくるという。ノーツはノーツで使い続け、これとは別に、電子申請システムから受け取った書類を庁内に流す新しい文書管理システムをつくる。
静岡県の平井隆一・企画部情報政策室主幹は、「県では、施設予約など簡易的な電子申請を始めているが、これには厳格な個人認証や電子納付の仕組みがない。国で規格化を進めている認証や納付のシステムを、これまで積み上げてきたシステムに被せる形で進めたい。だが一方で、ほかの市町村と共同利用をする必要もあり、詳細は未定」という。
県内74市町村の大半が合併を検討しているなど、市町村合併の大きな荒波に揉まれる。「今のタイミングで無理に共同利用を進めると、市町村合併の“火種”になりかねない。要するに、合併より先には、何も決まらないのが現状だ。最悪、県単独でも共同利用の開発に着手する」と、打ち明ける。
電子申請や調達、文書管理などのシステムの開発は今年4月から着手するが、運用先はまだ決めていない。「基本的には、運用は外部に任せる方向で動いている。ソフトウェアの部分は県で開発するが、ハードウェアを含めた運用はアウトソーシングする」と話す。ソフト開発と運用先とを別にすることで、オープン化を促す考えもあるようだ。
財務会計などを動かしている基幹系についても、「いつまでもホストコンピュータを抱える時代ではない。静岡県は東海地震の影響が大きい地域で、いっそうのこと情報系、基幹系システムともに県外へアウトソーシングした方が、災害時の復旧がスムーズにいく」と、災害に強い情報システムの構築を目指す。
一般的に、自治体のITや道路、施設など諸々の投資は、地場産業育成に役立てるケースが多い。IT投資についても「県内にデータセンターを誘致する」、あるいは「県内の第3セクターで運営する機関に委託する」といった方針を自治体の多くが打ち出す。
しかし、静岡県に限っては、「場所や事業者にはこだわらない」とし、「一番安くて、安全なところに発注するのが静岡県のやり方」だと明言する。
■当面の課題は静岡市と清水市との合併
静岡市は、清水市との合併を今年4月に控え、基幹系システムの統合に追われる。
静岡市の森健・総務部情報政策課長は、「4月1日に『住民票が出てこない』という事態だけはどうしても避けたい。それまでは、とにかく統合の作業以外、できるだけ手を加えたくない」と本音を漏らす。
今回のシステム統合は、清水市(人口約26万人)が使っているNECのホストを廃して、静岡市(同約46万人)のNTTデータ・富士通のホストに一本化する手法を採用した。
これは、合併が決まってからシステムを統合する期間が実質半年あまりしかなかったため、静岡市のホストへ清水市の分を吸収するという、もっとも手間がかからない手法を採用せざるを得なかった。
05年に向けて、人口約70万人の政令指定都市を目指す静岡市だが、このときは、新しく区割り(東京都の港区や中央区などの区制)が発生し、県と同等規模の仕事も増える。
このため、「ホストにかなり改修を加えなければならないのは確実。だが、まだどうなるかは見えていない」と、基幹系システムの刷新を示唆する。(BCN本紙
2003年2月3日号掲載)
|