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〜コンピュータ流通の光と影 PART VIII〜

第38回 宮城県(下)

各市町村間の情報格差解消が課題



【過去の記事はこちら】
合併案件でベンダーの受注競争が激化
 今、市町村が直面する最も大きな問題は合併だ。宮城県内の市町村では、合併問題に決着をつけてから電子申請や文書管理システムの共同開発・利用への参加を検討する、という自治体が多い。しかも、各市町村のIT化の進み具合は玉石混淆で、デジタルデバイド(情報格差)が存在するのも事実。そうしたなか、まずITベンダー各社が注力するビジネスは、各市町村のネットワーク整備。合併問題とは関係なく、地域インフラ整備のニーズを開拓していく。これと並行して、合併に必要な情報システム統合の準備も進めており、受注を獲得するために地元企業とのアライアンスも強化している。
(佐相彰彦)
■ネットワーク関連ビジネスに注力

 県内における市町村のIT化の状況について、広島和夫・宮城県企画部理事兼次長(情報政策担当)は、「仙台市のようにIT化を積極的に行っている市もあるため、県内全体が進んでいるようにもみえる。しかし、過疎地ではIT化への取り組みが遅い」と、市町村間の情報化格差を問題視している。県が打ち出している電子申請や文書管理などにおける市町村との共同開発・利用は、こうしたデジタルデバイド(情報格差)を解消するための苦肉の策でもある。

 しかし、現実には各市町村は合併問題で情報化どころではない。県との共同利用についても、「合併後に参加を検討する」という自治体が多いのが実情だ。広島理事も、「合併は当然、自治体のIT化に影響を及ぼす」と、市町村の考え方次第で合併を機に一段のIT化を進めることも可能だと指摘する。

 2003年7月15日の時点で、市町村合併への動きは法定協議会の設置が8件、任意協議会が1件、研究会が4件と、合わせて13件。各ベンダーにとっては、合併にともなう市町村間のデータ統合ビジネスの獲得が、自治体ビジネス拡大の重要なカギとなる。今年度は、デジタルデバイドの解消をキーワードに地域ネットワークの構築ビジネスに注力する一方で、合併自治体のIT統合を受注する戦略を練っている。

 富士通では、県内の市町村基幹システムのシェアが20%。IT化に熱心な白石市もユーザーだ。しかし、斉藤文雄・富士通東北支社第二公共営業部長は、「宮城県内の市町村向けで、富士通は東北の他県に比べて弱い」としており、合併時における新システムの受注獲得次第でシェアが大きく低下する可能性も出てくることに危機感を持っている。

 例えば、白石市と蔵王町、七ヶ宿町の1市2町で構成する合併研究会に対しては、合併を想定した新システムの構築を提案、将来の合併に備えて有利なポジションを確保していこうとしている。

 今年度のターゲットについては、「県内では、01年から徐々に地域イントラネットの構築に着手し始めているものの、すべての市町村に広がっているわけではない。合併問題を抱えている市町村に対して、合併後のIT導入がスムーズに進められるよう、ネットワーク基盤整備の必要性を説いている」(斉藤部長)としている。

■地元企業とのアライアンスを強化

 NECは、今年度から公共、民需など業種に合わせた営業と、地域性に特化した営業を組み合わせることで自治体ビジネスの拡大を図っている。

 小原正孝・NEC東北支社長は、「昨年度までは、業種に特化した営業担当者しか配置していなかったが、合併問題を視野に入れたビジネスを展開するのであれば、地域性を把握した提案を行わなければならないと判断した」と、営業体制を強化した意図を話す。

  市町村合併をベースとしたビジネスに関しては、案件ごとにプロジェクトチームを結成、官公庁や医療、電力、民需などで分けている業種別の営業組織の枠を取り払い、総力戦で臨む体制を整えた。プロジェクトチームのリーダーとして、紙屋司・NEC東北支社長代理が自治体営業部長を兼務する。

 紙屋自治体営業部長は、「合併に関しては、財務会計や予算などの業務システムに加え、消防指令や図書館のデータ管理、下水道処理、医療分野などの多くのシステムを一括で構築する必要性が出てくる。当社がもつノウハウすべてを生かして、どのようなニーズにも対応が可能だ」と言い切る。

 NEC東北支社では、公共関連ビジネスが売上高の6割程度を占めており、そのうち宮城県が約半分を占めるほど重要な地域となっている。シェアを落とさないためにも、合併案件を逃さないことは必須の課題。「合併商談に関しては、地域性や民需のノウハウを生かし、綿密な対策を立てて受注に注力していく」(小原支社長)としている。

 日立製作所は、県都・仙台市に基幹システムを納入した実績が強み。東北支社の横坂圭一・情報システム第一営業部長は、「宮城県は、これからビジネスチャンスが広がる地域だ」と自信を深めており、「自治体の各業務担当課に対して、コストパフォーマンスの高い事例などを挙げながらニーズに合った提案を行う」と、きめ細かい対応で受注につなげていくという。

 各ベンダーは、“地域密着型”をアピールするために地元企業とのアライアンスを一層強化することに注力している。県が2900万円以下の事業において、地元企業の参加を義務付ける「ソフトウェア開発事業の発注方式に関するガイドライン」を策定したことも大きく影響している。同ガイドラインは、県のシステム構築が対象だが、地域産業の活性化を図るという点では、市町村も同様の考えを持っている。

 NECでは、県内で30社程度の企業とアライアンスを組んでおり、そのうち15社が地元企業。「宮城県内の自治体向けでは、パートナー販売を含めると30%のシェア。これを伸ばすために県内を本拠地とするパートナーとの関係を深めていく」(小原支社長)としている。富士通でも、「ハードウェアのみを導入した案件を含めれば、地元IT企業などパートナーを通じて45%のシェア」(斉藤部長)と自信をみせ、地元との連携で受注を拡大していく。

 日立の県内システムパートナーは約10社。「いかに既存のパートナーとのパイプを強くできるかが、新しい自治体を顧客として獲得することにつながる」(横坂部長)と、既存パートナーとの連携強化を戦略の中心に置いている。

(週刊BCN 2003年8月4日号掲載)

 宮城県の連載中に宮城県北部連続地震が発生しました。地震により被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。

◆地場システム販社の自治体戦略・・・コアネット東北


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