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〜コンピュータ流通の光と影 PART VIII〜

第37回 宮城県(上)

地元IT産業の活性化に徹底した教育を実施



【過去の記事はこちら】
技術者のスキル向上を目指す
 宮城県が力を入れているのはIT教育だ。県民や企業、学校を対象に、それぞれ教育プログラムを用意。受講者の各レベルに合わせた教育プログラムにより、県民のITリテラシー向上に加え、企業における技術者のスキル向上も目指す。例えば、地元IT産業の活性化のために、「ソフトウェア開発事業の発注方式に関するガイドライン」を策定。地元IT企業が落札しやすい環境を整えた。IT教育の面でも、最新のテクノロジーを習得するためのメニューを揃えるなど、地元IT企業振興を支援している。(佐相彰彦)
■レベルに合わせた研修を用意

 宮城県のIT人材育成の体系は、@企業の上級者以上を対象とした「東北テクノロジーセンター」、A人材育成の仙台ソフトウェアセンター(NAViS)が実施する研修、B学校向けの「みやぎデジタルアカデミー」、C一般人向けの「IT講習会」――などがある。

 広島和夫・宮城県企画部理事兼次長(情報政策担当)は、「受講する側からすれば、自分のレベルに合った教育を受けることが重要なはずだ。そのため、レベルに応じた研修制度を用意した」と、さまざまな研修レベルを設定した理由を語る。

 「東北テクノロジーセンター」は、東北・宮城地域における高度IT技術者の育成を目的に2002年4月から本格稼動した。

 そこで行われるIT研修は、@データベースやオブジェクト指向、インターネットワーキングなどのスペシャリストを養成する「技術研修教育事業」、A優秀な人材がビジネスチャンスを獲得できるよう、さまざまな業界にアピールし、システム開発を受託する「高度IT技術者奨励事業」、B宮城のソフトウェアハウスやIT企業などに対して、最新の設備環境を提供し、各種ソフトウェアの動作状況試験を行える環境を提供する「ソフトウェア動作環境状況試験環境提供事業」――など。

 技術研修については、今年6月末時点で修了者が延べ200人以上になったという。

 運営は、仙台ソフトウェアセンターを事務局として、企業と行政、関連団体などがコンソーシアムを結成してあたっている。

 ここを中心に、IT有識者などで構成する「アドバイザリー会議」から提言を受けたり、東北大学電気通信研究所や宮城大学などの学術機関と連携し、最先端の研究情報が収集できる環境を作る。

 「NAViS」では、技術者のレベルに応じて情報技術入門や応用情報技術研修、情報システム設計・開発管理研修などのコースを用意。

 「みやぎデジタルアカデミー」では、小・中学生を対象にマルチメディアコンテンツ作成講座を実施、高校生向けにJavaおよび携帯電話のアプリケーション作成、高校の教諭向けにネットワーク技術の講座を開いている。

 同アカデミーは、98年度から02年度までの5年間、県内の小・中学生を対象に実施したIT教育「みやぎ情報天才異才塾」を発展させたもの。「02年度までに400人以上が講座を受けており、好評だった」ことから、対象者を広げて実施することになった。

 IT講習会では、初心者を中心に企業や一般向けに、パソコンの活用をはじめとする教室を各公共機関で実施。宮城県高齢者生活共同組合では、シニア世代に特化したパソコン活用支援事業なども行っている。

■産業の振興と集積が目的

 IT教育に力を入れる最大の目的は、東北・宮城地域におけるIT関連産業の振興と集積につなげるためだ。

 県では、一定の基準を設けて地元企業の参加を義務づける「ソフトウェア開発事業の発注方式に関するガイドライン」をこのほど策定。同ガイドラインの対象は2900万円以下の事業。設計図が公開済みの「オープンソース型」、部分ごとにプログラムを構築してシステムの拡張が容易な「オブジェクト指向型」のソフトウェア技術が対象となる。

 参加資格は、県内に本社のある地元企業が1社以上参加するジョイントベンチャー、もしくは地元企業の単独となる。

 県がこのような産業育成策をとるのは、行政のソフトウェア開発案件を国内大手ITベンダーが受注するケースが目立ち、地元企業が入札できる環境を作らなければ寡占状態を打破することは難しいからだ。

 広島理事は、「地元企業のビジネス拡大に必要なのは技術者のレベルを上げること」と、単に地元企業だけが楽に入札できる環境を作ったわけでないことを強調する。

 県におけるIT化の取り組みの大枠となっているのが、「みやぎマルチメディア・コンプレックス構想」だ。主要プロジェクトは、IT技術者の養成のほか、IX(インターネット・エクスチェンジ)の構築や電子認証局の設置、ベンチャー企業支援センターの整備、IT関連企業立地の促進、大容量通信基盤の構築、IT関連企業の集積に向けたインセンティブの拡充強化など。今年度がその目標最終年度になっている。

 広島理事は、「今年度でほぼ目標は達成できる」と自信をみせる。次のステップは、市町村との電子申請、文書管理の共同開発と利用だ。共同利用は、来年度後半の稼動を目指しており、本格的なシステム検討がスタートした。

 課題は市町村の参加に対する意欲だ。今年末時点で、「県内69市町村のうち参加する意向を表明しているのは18市町村。特に合併問題に決着をつけてから参加するかどうかを決めるケースが多い」(広島理事)ことを問題視している。

 こうした自治体に対しては、「合併の際、市町村のデータを1つに統合するため、新システム導入の必要が出てくる。システムの共同利用をすることで、投資にかかるコストを削減できる点を強調している」という。

 また、他県との連携も視野に入れており、「福岡県とシステムの共同開発を検討する」ことで、さらにコスト削減を図っていく。
(週刊BCN 2003年7月28日号掲載)

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